ある日やつは突然やって来た。
ベネッセの使い、悪魔の虎の子、死魔二郎。(以下、二郎)
二郎「お子さんがもうすぐ1歳になるようだね」
二郎「突然だけど僕と契約を結ばないかい?」
噂では聞いていたが、ついに我が家にも魔の手が伸びて来た。
二郎「僕と契約をすると、君の子供に色んなことを教えてあげられるよ」
二郎が持参した死海文書(パンフレット)には事細かく契約の内容が記載されていた。
さらに今契約を結ぶと「1歳のお誕生日特別号」という特別な号が手に入るらしい。
二郎「特別号ではね、僕のパペットだって手に入るんだ」
僕「いやぁ、でもうち既に結構おもちゃあんのよ〜」
二郎「見てごらんよ」
二郎は娘を指差して言う。
二郎「君の娘は既に僕のことを気に入ってくれてるみたいだけど」
そこには楽しそうにお試し二郎で遊ぶ娘の姿が。
今回、我が家に使役されてきたPET素材のようなお試し二郎。
後頭部から手を入れられるようになっていて、大脳を刺激することで「いないいないばぁ遊び」だってできる使用だ。(パペットマペット的なアレ)
無論、子供はカシャカシャと音のする物に目がない。
これまでいくつもおもちゃを買い与えていたが、今までに見たことがないくらいの食いつき様だ。
二郎「皆んな最初は同じなんだ」
二郎「君のように、うちの子には未だ早い。って」
二郎「もしくは、自分はきちんと子供のことを考えて本やおもちゃを買ってるから大丈夫だ。って」
二郎「でも、ほら見てごらんよ」
二郎「無料で送られて来たお試し二郎でさえ、君が今まで買い与えたおもちゃをはるかに凌駕しているのが分かるだろう?」
僕「た、たしかに…」
二郎「君たちがきちんと子供のことを考えているのは分かるし、その気持ちは僕としても尊重している」
僕「ありがとう」
二郎「でも、現実はコレだ。君たちよりも僕たちの方が圧倒的に子供のことを理解している」
僕「そんな…なぜっ…?!」
二郎「ノウハウさ」
二郎「我がベネッセグループが長年培ったノウハウの塊が、今君の目に写っている光景なんだよ」
僕「流石…ベネッセ…」
二郎「どうだろ、少しは契約に前向きな気持ちになれたかな?」
僕「たしかに、ベネッセの力や君の人気は十分伝わったよ」
二郎「それじゃぁ」
僕「…でも、今回は契約は見送るよ」
二郎「そうかい、まぁ押し売りする気はないんだけど、なぜ今回は?」
僕「高いよ、普通に」
二郎「まぁ我々ベネッセグループのノウハウがだね…」
僕「それとさ、こんなに毎月おもちゃを送られて来ても置く場所ないんだよ」
二郎「…」
二郎「そうかい、分かったよ。あくまでも僕はインキュベーターだ。君の意見を尊重するよ」
僕「ありがとう、また来てよ」
二郎「こちらこそありがとう、君の子供が小学生にあがるまでは定期的に別人格の僕がお邪魔させてもらうと思うから、その時はよろしく頼むよ」
僕「やっぱり定期的に来るんだ」
二郎「例え引っ越しをして住所が変わっても、ね」
二郎「君の子供を思ってのことだよ」
僕「そっか…」
気がつくと二郎の姿は見えなくなっていた。